所得税、法人税はコントロール可能な税金である

税金のコントロール

主な国税には、所得税、法人税、贈与税、相続税の4つがありますが、法人税以外は増税の傾向にあります。2015年以降、これまでの所得税の税率構造に加えて、課税所得4000万円超について45%の税率を設けることになりました。住民税と復興税を含めると、最高税率は56%と相続税以上となっています。
一方で日本企業の国際競争力を維持する観点から、法人税は減税の方向にあります。政府は2015年度から5年を目途に段階的な引き下げを表明しており、2016年度は実効税率で30%を割ることが決まりました。所得税や相続税が増税され法人税は減税されるという傾向から、法人に利益を残す方が得策ということになります。

コントロールのポイント

相続税は「払う」、「払わない」を選択できる税金であるというのは前述した通りですが、所得税や法人税は「納税の額やタイミングをコントロールできる税金」です。税金のキャッシュフローを自らコントロールすること、それがタックスマネジメントです。タックスマネジメントは富裕層や企業オーナーの生活の安定を大きく左右するものであり、大増税の時代にはことさら重要なノウハウといえます。

所得税・法人税の節税対策というと、関連する書籍は星の数ほどあり、内容も社宅の利用から各種控除の利用など、効果の大小を問わなければ数多く存在します。しかしながら、富裕層や企業オーナーにとって、細かいテクニックを網羅的に把握する必要はなく、基本的な考え方と、大きな節税効果が見込める抜本的な対策を知っておけば十分ではないでしょうか。代表的な対策は、①法人設立による所得分散・税率の引き下げ、②損益通算による利益圧縮、の2つに集約されると考えます。

実行の例

「法人設立による所得分散・税率の引き下げ」とは、法人を設立して、親族への給料や法人への内部留保によって所得を分散すること、そして税率の高い個人所得を減らして税率の低い法人所得に切り替えることです。相続税対策の側面もあることから、特にストックリッチ層向けといえる対策です。

「損益通算による利益圧縮」とは、一時的に利益が出そうな時に損失を計上できる資産を取得して、「課税の繰り延べ」をすることです。代表例は「減価償却資産投資」ですが、減価償却資産投資による課税所得の圧縮は、個人・法人両方に適用できる考え方です。特に、企業オーナーや専門家などのフローリッチ層向けの対策といえます。
所得税や法人税の対策は、税金をゼロにするという発想ではなく、資金繰りも考慮し、無理のない範囲で節度をもって行うことが大切です。要は、「生活や経営の安定のためにキャッシュフローをマネジメントする」という考え方で行うことが重要なのです。

執筆者紹介

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氏名

森 秀光(もり ひでみつ)

生年月日

1966年9月20日

キャピタル・ソリューション株式会社 代表取締役

一橋大学経済学部卒。平成2年に野村證券株式会社入社。国内支店にて証券営業を担当後、米国及び欧州の運用会社にて、証券アナリスト及びファンドマネジメント業務に従事。平成9年より同社企画部門にて、国内支店のビジネス開発・営業支援業務に従事。同時に個人富裕層向けの資産運用アドバイス、上場法人向けのコンサルティング業務に携わる。平成26年より現職。有価証券だけでなく、不動産、自社株、相続・事業承継など、多様な側面から顧客資産の分析を行い、最適な解決策を提供することを目指している。資産運用のプロフェッショナルとして、幅広く講演、研修、セミナーを行っている。

≪主な著書≫

book-mori
『超低金利・大増税時代の資産防衛戦略』(幻冬舎)

≪連載コラム≫

『お金のセオリー』(朝日新聞デジタル ウェブマガジン「&M」、KDDI・テレビ朝日・朝日新聞社 au端末情報サービス「auニュースEX」)
『超低金利・大増税時代に資産を守り抜くための「税金対策」』(幻冬舎 GOLD ONLINE)