富裕層の資産が目減りしてしまう3つの理由

資産というものは、ただ漫然と保有しているだけでは、徐々に価値が減っていくことがあります。特に富裕層の場合、資産が目減りするのは次のような3つのタイプの人です。

インフレによる目減り

まず、資産の大半が現預金という人。目減りする最大の要因はインフレです。仮に物価上昇率が3%だった場合、1000万円の現金は20年後には55%となってしまいます。例えば、老後の生活資金を現預金や貯蓄性の年金のみに頼っている人は、現預金はインフレによって実質的に目減りしてしまいます。特に引退後の生活資金については長期にわたるため、インフレの影響を受けやすくなります。ライフプラン上では悠々自適な生活ができると思っていても、インフレを考慮していないと、思ったほど優雅な生活は送れないことになります。

円リスクによる目減り

次は、資産の大半が円建てのみの金融資産という人。外貨建て資産を保有している場合に比べ、大きく見劣りしてしまう可能性があります。例えば、日本の10年国債は、米国、およびユーロ圏の10年国債利回りと比較して、歴史的に2~3%低い傾向にあります。2~3%の複利運用の効果は、20年の間に元本の6~10割もの差になります。さらに今後、マイナス金利の効果によって円安が進んだ場合、円資産の価値が目減りする可能性があるため、価値保全の手立てを考えておく必要があります。

税金による目減り

最後に、税金に対して無頓着な人。特に富裕層にとっては所得税と相続税の影響が大きいのですが、何の対策もとらずに漫然と多額の税金を納めている人や、税金を節約することに罪悪感を持っている人の場合です。所得税(住民税・復興税含む)の最高税率が56%、相続税が55%ですから、富裕層にとっては、何の対策も講じないと、生きている間のフロー所得が半分になり、さらに一生かけて蓄積した税引き後の財産が死亡時に半分になるため、「二重課税効果」で財産が4分の1になってしまいます。特に相続税は払う、払わない、を選択できる税金であるため、早期からしっかり対策を実行すれば、法的なリスクを抑えて十分節税することが可能です。何の対策もとらずに相続を迎え、残された家族が多額の税金を払わせられるといった事態は避けたいものです。

相続税対策というと、生きている間に親の死にかかわる話をするなんて縁起でもない、と敬遠されがちです。しかしながら、お金にかかわる話というものは、情緒的なものではなく、経済合理的か否かで判断すべきもので、シンプルな損得勘定なのです。
相続税対策は、相続までの期間が長ければ長いほど、選択の幅が広がり、節税効果も高くなります。基礎控除額を大きく超える財産を残す可能性が高い方は、できるだけ若いうちから対策を実行しておくことが望ましいと考えます。

執筆者紹介

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氏名

森 秀光(もり ひでみつ)

生年月日

1966年9月20日

キャピタル・ソリューション株式会社 代表取締役

一橋大学経済学部卒。平成2年に野村證券株式会社入社。国内支店にて証券営業を担当後、米国及び欧州の運用会社にて、証券アナリスト及びファンドマネジメント業務に従事。平成9年より同社企画部門にて、国内支店のビジネス開発・営業支援業務に従事。同時に個人富裕層向けの資産運用アドバイス、上場法人向けのコンサルティング業務に携わる。平成26年より現職。有価証券だけでなく、不動産、自社株、相続・事業承継など、多様な側面から顧客資産の分析を行い、最適な解決策を提供することを目指している。資産運用のプロフェッショナルとして、幅広く講演、研修、セミナーを行っている。

≪主な著書≫

book-mori
『超低金利・大増税時代の資産防衛戦略』(幻冬舎)

≪連載コラム≫

『お金のセオリー』(朝日新聞デジタル ウェブマガジン「&M」、KDDI・テレビ朝日・朝日新聞社 au端末情報サービス「auニュースEX」)
『超低金利・大増税時代に資産を守り抜くための「税金対策」』(幻冬舎 GOLD ONLINE)